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BLOG 学院ブログ

2025.09.17

極みお召~お召の着物について~

江戸時代 第11代将軍徳川家斉(1787~1837)が好んでが好んでお召しになったことから、将軍様の御召物=御召の名前がつきました。

通常の縮緬は縦糸に撚りをかけず、横糸に右撚りと左撚りを交互に使うことで独特のしぼを出しますが、お召は縦糸に強い撚りをかけた八丁撚りという糸を使い、横糸にも一般の縮緬よりも撚りのつよい御召緯という糸を使うことによって、しぼがより大きく、はっきりとあらわれます。それによりさらっとした肌触りとなります。また縮緬のように織りあげ後ではなく、糸の状態で精練するために絹のセリシンが除かれ、織りあがりが硬く、コシのある地風となります。

元々は「紋織物」という名前で、中国から絹の道を通ってヨーロッパに紋織物の技術が伝わり広まっていきました。紋織物は経糸と緯糸を複雑に組み合わせて織りだした織物の事で、江戸時代当時は「空引き機」という背の高いはた織機を使って二人がかりで織っていました。上に乗っている人が縦糸の上げ下げを担当し二人で息を合わせて織り進めなければならず、作業は非常に大変でした。

その後、1803年にフランス人のジョゼフ・マリー・ジャガードさんがジャガード織機を発明しました。図案をもとに穴を開けた紋紙というカードを織柄に必要な枚数作成し、それを機に取り付ける事により経糸を上下させて緯糸が通る個所を変える事によって模様を作り出していきます。これにより作業効率が飛躍的に上がり、一人で織れることになりました。日本ではこのジャガード織機を京都の西陣で1873年に導入されました。

お召

紋紙

お召には色々な種類があります。

無地御召・縞御召・絣御召・縫い取り御召・上代御召・風通御召・紋御召。それぞれ独特な風合いをもっています。

その中でも紋御召は肌触りが良く色柄によっては多くのシーンで着用できますので、典雅きもの学院ではこの紋御召を極めようという事でオリジナルの「極みお召」をプロデュースしました。

【極みお召】とは

お召の中でも特にT.P.O.が幅広い紋お召。糸、柄、色に徹底的にこだわり、最高の着心地のお召が完成しました。

着付け教室 お召
お召 着付け教室

 

⓵糸のこだわり・・・光沢が素晴らしい純国産の生糸を100%使用しました。昭和初期頃まで日本の生糸は世界でもトップブランドとして人気があり多くの生産量を誇っておりました。※生糸(きいと)とは繭から取り出した糸を10~15本たばねて1本の糸にした物)

しかし養蚕はとても大変な仕事で、その割に収益が上がらないという事で後継ぎができず、養蚕農家さんが激減している状況です。昭和10年代に全国で220万戸の養蚕農家さんがいたのですが、現在は140戸程まで減ってしまい、このままでは数年後日本の生糸がなくなるのではという危惧が濃厚となっている状況です。明治初期に渋沢栄一が富岡製糸場を創立してから日本の経済を支え続けてきた養蚕が今、風前の灯火となっているのです。

現在作られている着物や帯の生糸は90%位が中国からの輸入に頼っています。ブラジル産の生糸は品質に定評がありますが、日本程ではないですが年々生産量が下がっています。日本の生糸の割合は全体の0.3%と言われています。日本人のための着物に使われているのが中国産の生糸っていうのはどうも変な感じがします。呉服業界も純国産の糸は高いから中国産を使うという現状です。

日本のお蚕さんは養蚕農家さんの愛情がたくさん注がれているので世界で最も品質が良いと言われています。糸のしなやかさ、光沢、どれを取っても素晴らしい!私は10年前からこの素晴らしい国産の生糸にこだわって色々な着物をプロデュースしてきました。

この「極みお召」は栃木県や群馬県の養蚕農家さんが大切に育てていただいたお蚕さんから群馬県の碓井製糸場で生糸になり、京都西陣の機屋さんで織られた最高のお召です。どんな場所にも着て行けて、どんな帯でも合うように江戸小紋柄にしました。遠目には無地に見えるように極限まで細かい柄にしたのもこだわりです。紋お召の場合、経糸が多い物でも3,000本位ですが、柄を小さくするために、経糸が3,960本となりました。西陣の機屋さんもこの「極みお召」のこだわりに協力していただき、経糸4種類、緯糸3種類の太さが異なる糸を使用する事で、よりしなやかさと着心地の良さが上がりました。生地は細かい柄を表すために通常のお召に比べて細い糸を使ったので通常のお召に比べて薄くなり、細い糸が密に織り込まれているという事になります。薄いのに丈夫で純国産糸の光沢が際立つ素晴らしいお召となりました。反物巾は手の長い方や男性でもいけるように1尺5分の巾にしました。

柄は雪輪、市松、横段の3種類それぞれに60柄の吉祥文様をデザインした物と江戸小紋柄を30柄・・・全部で33柄。色は24色。

お召 着付け教室
吉祥文様60選・正羽柄の極みお召

色と柄を選んでいただき、注文を受けてから糸染めから入ります。

市松に60種の江戸小紋吉祥文様

お召
お召

雪輪に60種の江戸小紋吉祥文様

お召
お召

正羽(横段)に60種の江戸小紋吉祥文様

お召
お召

上記以外、一つの江戸小紋柄で30種類があります。

例)鮫小紋・角通し・行儀・七宝・菊菱・花菱・胡麻柄・雪月花・乱菊・日々是好日・宝来・鱗・青海波・・・・・・・

すでに「極みお召」を作られた方に聞いてみると

「体の動きについてきてくれるので、とても着易いです。」

「とても光沢が良いのでみんなから褒められます。」

など、大変好評をいただいております。

 

※「極みお召」は希少な純国産糸を100%使用した典雅きもの学院オリジナルの受注販売となっております。生徒さんに向けて破格の価格にしておりますので一般の展示会等ではお見せできません。  典雅きもの学院で開催している「勉強会&受注会」の時だけ注文を受け付けます。勉強会実施の場所、日時に付きましては最寄りの店舗にお問い合わせください。

 

《極みお召のT.P.O.》

極みお召は通常のお召と違って、柄が細かく色無地とほとんど変わらないシチュエーションで着用できます。例えばお茶会、入学式卒業式のお母様、七五三のお祝いの時のお母様、おばあ様、お友達の結婚式等、幅広いシーンでご着用できます。

以前製作した極み名古屋帯・・・特徴は松岡姫の糸を一部使用 乱菊のワンポイント柄で天然ダイヤモンドの粉末を使ってキラキラ光ります。↓下の写真

名古屋帯 着付け教室
極み名古屋帯

 

典雅きもの学院小金井校